モーツァルト「魔笛」ベルイマン監督

ベルイマン/魔笛クラシカ・ジャパンで放送されたので、これもほんとうに久しぶりに見ました。レンタル・ビデオで映画をよく見ていたころ、この監督の映画もいろいろ見たものです。それで、このオペラ映画にも興味を持って見たのですが、ほとんど印象に残っていませんでした。このオペラにもすっかりなじんだことだし、見方が違うかとも期待して久しぶりに観ましたが、やっぱりちょっと退屈な感じもします。なんというか、個性的でない感じ。顔の大写しが非常に多いし、その顔がなんというか・・ 整って、うつくしいですけど・・・ 音楽的にも単調というか平凡な印象。でも、それなりにおもしろいと言えばおもしろいかもしれません。どっちつかずな気分ですが、無難かなってところかしら・・・ 見る側の気分に影響されているのかも・・

そこで、ひとつ、もってまわった感想です。オペラの舞台収録映像というのは、登場人物のイメージを見る側から投影しなくてはいけない場合が非常に多いわけです。視聴者としては見ているものを信じるか、その台詞(歌詞)あるいは物語の一般的設定を信じるべきか、この間で板挟み状態になることも少なくない。しかし、これは、あくまで映画とすれば、スクリーンに映し出されるものから登場人物をイメージし、そして、物語そのものを心の中に構築できるはず。そういう素直な見方をする時、この映画の意味というか、意図を感じることができるような・・・ 


劇場での上演を観客が見ているという設定で、舞台は素朴なものです。観客は老若男女、人種的にも雑多の人たちを強調したいようですが、一人の女の子の表情が時折アップで画面いっぱいに映されます。


特徴的なのは、ザラストロと夜の女王が、憎みあって別れた夫婦になっていることでしょうか。そう見えました。親権を争う父母というところ。パミーナが、ひどく暗い陰険な表情を見せることもあり、これはちょっと印象的というか、迫るものがあります。じっくり眺めていると、なんというか、奇妙に暗い不思議な雰囲気が迫ってきます。ほとんど画面いっぱいの顔の大写しが、ある意味効果的なのかも・・・

ちらっと意味不明の場面も入ります。舞台裏を映しているのかしらとも思いますが、パルジファルという題の本を読んでいるザラストロに対して、だらしない格好でお付きたちに化粧を直させている女王とか。女王も侍女たちもなぜかたばこをふかしています。タミーノとパミーナは楽しそうにチェスをやってます。

場面の順序、多少入れ替え、カットも? があるようです。歌の繰り返し、台詞など、かなり省かれたり、短縮されているようで、演奏時間はおよそ2時間になっています。パパゲーノとパパゲーナの年齢会話は、大笑いしながら、「年は?」「18歳と2分よ」「ずいぶん若いんだね」「恋人もいたりして・・」「もちろんよ」「若いの?」「う〜〜ん、10歳ぐらい上」と続きます。字幕情報です。この映画はスウェーデン語です。そして、フィナーレに、子沢山で登場します。


エリック・エリクソン指揮 
スウェーデン放送交響楽団&合唱団 
イングマール・ベルイマン監督 
オペラ映画1975年 スウェーデン放送局 スウェーデン語  
TV(クラシカ・ジャパン)

パパゲーノ:ホーカン・ハーゲゴール
パパゲーナ: エリザベート・エリクソン
タミーノ:ヨゼフ・コストリンガー
パミーナ:イルマ・ウルリラ
夜の女王:ビルギット・ノーディン
ザラストロ:ウルリック・コールド
モノスタトス:ラグナール・ウルフンク
弁者:エリック・サエディン
 

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モーツァルト「魔笛」ミュンヘン1982年
役についての歌手のコメント集
初録音
デビュー
夜の女王
モーツァルト「魔笛」

この記事へのコメント

ヴァラリン
2005年09月02日 08:26
うわっ?!ビックリしました(@。@;
最初の女の子の写真、まるでお人形さんみたいですねー!

あとで「魔笛のお部屋」に追加しておきますね^^
わびすけ
2005年09月02日 15:37
私も観ました。本当に久しぶりで、楽しかったです。
自分のところで書いていないことでいうと、
ハーゲゴール、このときからファンです(*^_^*)
北欧のオケが好きなのも、彼の歌う演奏で、ドロットニングホルムのモーツァルトのオペラ録音を聴いたせいかもしれません。

パミーナが死のうとするところで、冬になって雪がふっているのも好きなシーンです。セーター着てるんですよね。3人童子とか。歌はさておき、かわいいです。
euridice
2005年09月02日 18:07
ヴァラリンさん
>最初の女の子の写真
この子が舞台に応じて見せる表情が、要所要所で大写しで挿入されるんです。

わびすけさん
クラシカ・ジャパン効果ですね^^!

>パミーナが死のうとするところ
美しいですね。他にも構図的に魅力的なシーンが沢山ありますね。

それにしても吹き替えじゃないみたいですから、
端正な歌手を集めたものだとか、
表情が「いかにも歌手!」じゃないのもすごいなとか
感心してしまいます。
Sardanapalus
2005年09月02日 19:47
最初の写真の少女、インパクトのある顔ですね。ラファエロとかダ・ヴィンチあたりの絵画みたいです。

この映像、かなり前に見た気がするのですが、もう殆ど忘れてしまいました。舞台裏?っぽいシーンなんて全然覚えてません!そこにも色々と意味が含まれていそうですね。
なつ
2005年09月02日 20:35
あの女の子、ベルイマン監督の娘さんじゃなかったかしら?
euridice
2005年09月02日 22:09
>インパクトのある顔
ですね。それに、画面いっぱいの大写しですから・・

>ベルイマン監督の娘さん
へ〜〜 そうなんですか。
Orfeo
2006年03月06日 17:56
やっと着いたあ~~!(笑)

edcさん、TBありがとうございました。本当はこちらから先にTBさせていただこうと思っていたのですが、ここまで辿り着けませんでした。ホント、So-net、重過ぎ・・・。

TB返しさせていただきます。
euridice
2006年03月06日 22:36
遠路遥々、ありがとうございます^^!

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  • 『魔笛』

    Excerpt: スウェーデンの巨匠イングマル・ベルイマンが制作したオペラ映画。元々は1975年元旦にスウェーデン全国でテレビ放映されたものだが、すぐに大反響となり、同年のカンヌ映画祭において招待上映され、その後世界 Weblog: orfeo.blog racked: 2006-03-06 17:58