プロコフィエフ「3つのオレンジへの恋」リヨン1989年

これもオペラ事始めのころ見たオペラのひとつですが、この映像ではありません。グラインドボーン音楽祭のものでした。筋も何も知らずに見たのがいけなかったのかもしれません。すぐに夢の中を数回やったかどうかで、何にも覚えていませんでした。好きな絵本作家のモーリス・センダックが舞台美術を担当していたのに・・・やはりオペラというものはある程度の知識を持って鑑賞したほうがいいようです。そういうことで、最近ネットからたくさんの情報を得た流れで、この映像を見たわけです。結論。いやあ、現金なものでと言うべきか、とってもおもしろかったです。

舞台で実際に上演されたものですが、映像化にあたっては、それ用に手が加えられたものだということです。いわゆる声自慢の歌手が片手間に演技をするという類とはまったく無縁と言ってよいでしょう。最上等の音楽劇だと思います。やたらに多い登場人物もはっきり描き分けられていて混同することがありません。それにこの映像、画質は最近のDVDにしては最高ではないけど、十分鮮明、それになんといっても日本語字幕付きです。

特に見ごたえがあったのは、バキエの王様の貫禄ぶりと親ばかぶり、王子のスネ夫ぶりがかわいい。まさに第一級のコメディアンです。悪役大臣レアンドルと王の姪クラリーチェ姫の単純悪ぶりもかっこいい。ファタ・モルガーナ、トゥーランドットみたいな旋律で喚きますが、これって本歌取りかしら。数回、いきなり登場する行進曲もなんだか、いちいち出方が笑えます。この行進曲はクラシック小品集の定番で、耳になじんでましたが、「交響詩3つのオレンジの恋から」というタイトルで、もとがオペラとは思いませんでした。

王様側の魔術師チェリオと悪大臣側の魔術師ファタ・モルガーナがトランプをする場面は、ヨーロッパの映画やお芝居によく登場する小人症の役者さんたちと上手に使われる人形のお陰もあってか、とてもおもしろい雰囲気になってます。

ま、作者の意図通り、茶番と悲劇と喜劇と恋愛物と深刻な劇をすべてまとめて楽しめるお芝居として一応成功しているかも。そりゃ、やっぱり喜劇ですけど。

プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋
ケント・ナガノ指揮 リヨン歌劇場1989年       
ルイ・エルロ演出 フランス語版

王トレーフ:ガブリエル・バキエ(Bs)
王子:ジャン・リュック・ヴィアラ(T)
クラリーチェ姫:エレーヌ・ペラガン(Ms)
レアンドル:ヴァンサン・ル・テクシエ(Br)
トルファルディノ:ジョルジュ・ゴーティエ(T)
パンタローネ:ディディエ・アンリ(Bs)
ファタ・モルガーナ:ミシェル・ラグランジェ(S)
チェリオ :グレゴリー・ラインハート(Bs)
ニコレッタ ブリジット・フルニエ(S)  
  

オペラ鑑賞事始めのころ見たグラインドボーン音楽祭のレーザーディスク モーリス・センダックの舞台だったのでした。

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行進曲は、クラシック管弦楽小品集などで、おなじみですが、 交響組曲内の一曲となっていますので、 もともとはオペラだとは思いませんでした。

この記事へのコメント

keyaki
2007年02月20日 10:52
私も、オペラに興味を持った頃、見てますが、なぜか料理人が出てた、ということしか覚えていません。
ガブリエル・バキエは、ODBオペラでのライモンディとの座談会で、あなたもルッジェーロみたいに映画に出たいと思いませんでしたか? という質問に、「俺だって映画には出たぜ。ドパルデューと共演したとき、ずーっとやらないかなんて言っておきながら、あとで音楽祭とかでいろいろ忙しくてできないだろ、なんて言って、はずしたんだよな....ったくぅ。。」なんて言ってましたよね。
ななこ
2007年02月20日 18:04
グラインドボーンのオペラがセットでLDで売り出されたときにハイティンク指揮の舞台を見た記憶くらいですが、行進曲だけはプロコフィエフの代名詞みたいに印象に残っています。
今、改めて見ると又違った印象を受けるでしょうね。
グラインドボーンの音楽祭でのセレブな人々のオペラをゆったりと楽しむ映像(おまけについてた)に感動した記憶があります。
あんなふうにオペラを楽しみたいと思いました。
2007年02月20日 21:49
およっ!?これも先を越された!(爆)
買ったまま、全然見ていません。
きっといつかは僕だって・・・。
こちらの記事で勉強させていただきます^^;;
サンフランシスコ人
2008年02月21日 03:45
ナガノ指揮・リヨン歌劇場のサンフランシスコ公演で、この歌劇を鑑賞しました。
euridice
2008年02月21日 09:01
サンフランシスコ人さん
同じ演出でしょうねぇ・・いいなぁ^^+
サンフランシスコ人
2008年02月21日 11:50
同じ演出でした。
サンフランシスコ人
2008年11月05日 08:25
ケント・ナガノが旭日小綬章を受賞

http://www.hokubei.com/ja/news/2008/11-1

「日系人のナガノ氏は、自分のルーツである日本との繋がりを大切にし、日本人演奏家を起用したり、日本人作曲家の作品を取り入れ、また和太鼓と共演するなど、音楽の世界において日本的要素を米国、世界に向け積極的に紹介してきたことが評価された。
 バークレー交響楽団のほか、モントリオール交響楽団、バイエルン国立歌劇場、同管弦楽団の音楽監督も務めており、これらの楽団のほかベルリン交響楽団などと共にたびたび訪日公演を行い、成功させている。バークレー交響楽団は今季限りで辞任を表明しており、先ごろサヨナラ公演を開いた。サンフランシスコ在住。」
2008年11月06日 07:32
サンフランシスコ人さん、情報ありがとうございます。

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  • 『三つのオレンジへの恋』(リヨン歌劇場)

    Excerpt: 子供の日記念 DVDライブラリーより。 1989年、ガーディナーからリヨン歌劇場音楽監督の座を引き継いだケント・ナガノの就任記念公演のプロダクション。ジャン=ピエール・ブロスマンとともに二頭体制でこの.. Weblog: orfeo.blog racked: 2007-05-05 06:19